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2015年7月10日 (金)

よく似た体

とヘアメイクをしてもらった澪は、悠人を待たせていた喫茶店に入り、歩幅を小さく刻みながら奥の席にいる彼のもとへ駆けていく。しかし、そこにいたのは彼一人ではなかった。後ろ向きなので顔までは見えないが、対面には、彼と格の男性が座っている。 「澪、あけましておめでとう」 「お父さま?!」  にこやかに振り返ったその男性は、澪の父親であり、悠人の親友でもある大地だった。正月だというのに、濃紺色のトラッドなビジネススーツを身につけ、ネクタイまできっちりと崩さず締めている。仕事帰りなのだろうか。それでも、まったくといっていいほど疲れた顔を見せていない。 「その振袖も髪型もよく似合ってるよ」 「ほんとですか?」  澪は大きく声を弾ませてそう言うと、腕を少し広げ、その場で軽やかにまわって見せる。鮮やかな赤地に色とりどりの花が咲き誇る、上品ながらも人目を惹きつけるデザインで、澪自身もとても気に入っていた。振袖に合わせて、髪も可愛らしく華やかに結い上げられている。 「師匠に見立ててもらったんです」 「へえ、結構いいセンスしてるね」  大地はソファの背もたれに腕をかけ、意外そうに言う。彼は知らなかったようだが、澪と遥の衣装は悠人が見立てていることが多い。あまりファッションに詳しくないと本人は言っているが、それでも的確に似合うものを選んでくれるあたり、確かにいいセンスを生まれ持ったのだろう。 「そういえば、お父さまはどうしてここに?」 「おまえたちと正月を過ごすつもりで家に帰ったんだけど、澪と悠人は初詣に出掛けたっていうから、合流

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